世紀末のブダペスト レヒネル・エデン |
ブダペストの世紀末文化は、マジャール文化への回帰として現れた。国家民族のアイデンティティーを求め自らの文化形成をしようとする動きが、ある民族学者によって触発され、コーダイ、バルトークが、生きた教材にまなぶためマジャール地方に残っている民謡を採集して独特な音楽に作り上げっていった。
(中略)
マジャール建築の父と呼ばれるようになったレヒネル・エデンは民族的な装飾をセラミックやガラス工芸、金属細工などの技術に統合していった。簡単にいえば、ねじれ、からみつき、曲がりくねったデザインの中に、動物などの頭や植物のモチーフなどが随所に織り込まれたものである。しかしその醸し出す雰囲気は、陽気な不気味さというか幻想的な生物の森を暗示させるものがある、。レヒネルが多様した新しい釉薬(ゆうやく)で光沢のあるセラミックの造形が、今までに見られなかったもう一つのマジャール独特の図像学を構成しはじめたのである。
(引用終わり)