本当に恐ろしい人々 |
その恐ろしいとは何かを 副島先生の映画解説本 『アメリカの秘密』(1998年5月刊) の " ゴッド・ファーザー " から引用します。
(引用開始)
(映画 ゴッド・ファーザーで) 警察署長だけでなく、裁判官であれ上院議員であれ、さまざまな権力者がマフィアに買収され裏でつながっている様子が、ここそれとなく描かれている。これは、映画だけのことではない。現在のアメリカの真実のストーリーである。
どこの国でも本当の権力は、背景にすさまじい暴力装置を抱えている。そのような恐ろしさを背景にしないと政治権力など、存在するはずがないのだ。表面上の薄っぺらな正義感や、平和で善良な暮らししか知らない大衆庶民たちの穏やかな生活こそは、真に愛するべきものであるが、それはそれだけの話しである。近代政治学の大原理が、「権力(パワー)とは、突き詰めれば暴力(バイオレンス)である。」とすることを忘れてはならない。
(中略)
アメリカでは、その人物がマフィアの一員だと分かれば、その場で逮捕される。これが「反社会的」という意味であるが、ここが日本人は分かっていない。日本のヤクザ者たちのように、代紋の入った名刺を持ち歩くなどということは、あり得ないのである。 なぜこの国ではヤクザが堂々と自分の所属が名乗れるかというと、日本の組織暴力団などというものは、どうせまともに生活を送れないチンピラたちの自治生活組織なのであって、大きく言えば社会福祉団体にすぎないからである。
欧米のジャーナリストは、英字新聞などで「日本の政界はヤクザとつながっている」としょっちゅう書く。この場合のヤクザを、マスコミがよく名前にする暴力団の幹部たちと考えてはならない。日本の政財界と闇の部分でつながっている本物の「ヤクーザ Yakuza」は、決して社会の表には出てこないのである。
もちろん、私にはその部分がよく分からない。分かったら殺されるだけだ。ところが、そのことが欧米の日本研究や日本観察者たちには、上からの大きな目でよく見えるらしいのである。日本の学者たちは、絶対に認めようとはしないが、こうしたバーズ・アイ(鳥瞰図)から見られた日本分析は、極めて正確なものであるらしい。
(引用おわり)