北方領土と日米地位協定 |
安保条約に付いている「日米地位協定」(締結時は「日米行政協定」)がある。この地位協定が曲者で
「米軍がいつでもどこでも好きなだけの間、日本に基地を置ける」これが、日米安保の根幹ということなのだから、北方領土返還で北方四島に米軍基地を置かないという決定をしてしまうとこの根幹が崩れてしまう。
北方領土がその「例外」となることは許されない(実際にできるできないはおいておく)。例外が前例となってしまうと、日米安保の根幹、既得権を崩すアリの一穴になってしまう可能性もある。
(朝日新聞)「楽観論は11月に入って後退した。同月上旬、モスクワ入りした谷内正太郎・国家安全保障局長は、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談。(略)パトルシェフ氏は日ソ共同宣言を履行して2島を引き渡した場合、『島に米軍施設は置かれるのか』と問いかけてきた。谷内氏は『可能性はある』と答えたという」
つまり、日米地位協定で、日本に主権がある所には、どこにでも米軍基地がおけるので、当然、事務官レベルでは官邸の特命がない限り このように応えるしかない。
(朝日新聞)「プーチン氏が問題視するのは、日本の米国との同盟関係そのものだ。『日本が(米国との)同盟で負う義務の枠組みの中で、その程度ロシアとの合意を実現できるかを見極めなくてはならない』『日本は独自に物事を決められるのだろうか』と、疑問を呈した』」
もし、このような理不尽な日米地位協定を一方的に破棄しようとすれば、国連憲章107条(敵国条項)に触れてしまう。
「この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府(日本の場合米国)がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。」
ドイツは、苦労の末、敵国条項適用除外国になり、駐留米軍はドイツ憲法下におかれているが、日本政府に敵国条項適用除外(常任理事国の同意)への意思はなさそうだ。