ミトラ教9- キリスト教との関係 |
キリスト教の神話はヘブライ神話だけでなく、ミトラ教神話からも多くの部分を継承しています。
その関わりは一般に想像されるよりずっと深いものです。以下に宗教学で明らかになっている部分を示しておきます。
《キリスト教がミトラ教から取り入れたこと》
・誕生日の予言と目的
ミトラの誕生日を三人の占星術たちが予言し、羊飼いがその誕生を目撃します。 そして彼らは捧げ物を持って誕生を祝いに行きます。これは、福音書のイエス誕生の物語に取り入れられてます。
・誕生日
ミトラの誕生日は冬至の日、12月25日です。これはイエスキリストの誕生日と置き換えられています。
・奇蹟
ミトラは死者をよみがえらせ、病気を直し、目の見えないものの目を見えるようにし、歩けない者を歩けるようにします。 これは福音書では、イエスの奇蹟に置き換えられています。(キリストの奇蹟)
・十二弟子
もとはミトラとそれを取り囲む十二星座のことです。これが福音書では、イエスキリストの十二弟子に置き換えられています。
・復活祭
ミトラの勝利を春分の日に祝うことがもとになっています。(キリスト教の復活祭)
・最後の晩餐―もとはミトラのオリンポスでの祝宴
これはミトラが天上に帰還する前日に十二人の光の友たちと最後の晩餐をすることがモデルになっています。(キリスト教の最後の晩餐とキリストの昇天)
・聖体拝領(パンと葡萄酒)
もとは、ミトラとアポロンが催す宴席に信者一同が参加し、聖なるパンとワインを分けてもらうことで自分たちがアポロン同様に「ミトラの友」であることを確認する儀式でした。
・昇天と再臨の予言
もとはミトラの天への帰還と再臨の予言です。ミトラは天上に還る際、自分が再び復活して、光の友と一緒に歩むことばを残していきます。
・復活の日と最後の審判
もとはミトラ教におけるコスモスの終末に先立つ、死者の復活とその最後の審判のことです。
・最終戦争ハルマゲドン
もとはミトラの最終戦争です。ミトラの友は最後の戦いで光の天使軍に加わり、闇の軍団と戦います。(『ヨハネ黙示録』)
(転載終わり)
・誕生日の予言と目的
「アブラハムの許で三人の天使の食事」
サン・ヴィターレ聖堂 モザイク壁画 ラヴェンナ 6世紀前半
「ミトラの誕生日を三人の占星術たちが予言し」は、旧約聖書で、サラに子供が予言する3人の天使をもてなすアブラハムを描いた場面。
・奇蹟
カラヴァッチョ 『ラザロの蘇生』(1609年頃) メッシーナ州立美術館(メッシーナ)
イエスはベタニアの村に住むマルタとマリア姉妹からラザロの病を治して欲しいと懇願される。だがイエスが不在の時に息を引き取る。死後4日たって村に戻ったイエスは、天を仰いで神にいつも願いを聞き入れてくれることに感謝する。そしてラザロに出てきなさいと大声で叫ばれた。すると死んでいた人が手と足を布で巻かれたまま出てきた。(ヨハネ福音書11章43節)
・最後の晩餐―もとはミトラのオリンポスでの祝宴
レオナルド・ダ・ヴィンチ 『最後の晩餐』
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(ミラノ)
・聖体拝領(パンと葡萄酒)
ヴェロネーゼ 『カナの結婚』 ルーブル美術館
ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ修道院からナポレオンが奪ってきたもの。
そもそもは、水をワインに変える奇跡の絵であるが、ココでは もとは、ミトラとアポロンが催す宴席に信者一同が参加し、聖なるパンとワインを分けてもらうこととも とらえれます。
・昇天と再臨の予言
アルブレヒト・アルトドルファー 『キリストの復活』 ウィーン美術史美術館
救世主は赤い十字の復活旗を手にして棺おけの上に立っている。 超自然的な光がキリストの身体から発し、暗雲を照らし、キリストの墓の周りに目をくらまされ、眠っている兵士たちの姿に光を投げかけている。
・復活の日と最後の審判
ミケランジェロ 『最後の審判』
・最終戦争ハルマゲドン
ミケランジェロ 『最後の審判』の下の部分
黙示録のラッパ吹き(もくしろくのラッパふき)は、 『ヨハネの黙示録』に記される、ラッパを与えられた神の御遣い(天使)。 小羊(キリスト)が解く七つの封印の内、最後の七つ目の封印が解かれた時に現れるという。
(「ヨハネの黙示録」第8・9・11章)