ミトラ教5 - ゾロアスター教 |
ソロアスター教の教義は、ユダヤ教、キリスト教の教義に大きな影響を与えました。
(略)
ゾロアスター教の黙示録神話を伝えるのは、『バフマン・ヤシュト』です。これによれば預言者ザラトシュトラの死後千年たったとき、その教えは衰え、邪悪な者たちの支配する時代がきます。 それが千年続いたあと、アフラ=マズダーは正義の熾天使ミトラに率いられた天使団を送り込みます。そして、彼らに司祭ペショタヌと50人の勇士を導かせ、悪と戦わせます。 彼らは真の回復者の出現を待ちながら進軍を続けます。やがて彼らの前に回復者ザラトシュトラと息子のフシェダルが現れます。 フシェダルは彼らを迎え入れ彼らとともに千年王国を築き、ミトラに譲られ正義の統治を築きます。
キリスト教とイスラム教のメシア到来と千年王国伝説は、この信仰を取り入れて生れたものです。
(引用おわり)
これが、『失楽園』では、
サタンの軍隊を迎え撃ったのは、ミカエルとガブリエルの軍勢だったようです。サタンが新兵器を繰り出します。ベリアルやベルゼバブなどサタン軍の猛者どもが暴れまわります。でも、(ラファエルが語り手であることを差っ引いても)、総大将的存在だったミカエルは、めちゃくちゃ強かったみたいです。最後は、救世主である御子が遣わされて、サタンどもを混沌のはてに追放しました。(引用終わり)
(引用開始)
「黙示録」第12章7節には大天使ミカエルが率いる天使の軍隊と悪魔の軍隊との最後の戦いがある。旧約聖書の「創世記」では反逆天使天使の奈落とも記述されているこの戦いが、本作品では画面右後方に小さく表されている。大天使ミカエルの描写では悪魔が忌まわしい創造物として具体的な形を与えられており、悪魔の数は七つの大罪を連想させるものである。
(引用終わり:『ウィーン美術史館 絵画偏』)
ところで、ペルシアの黙示録で注意しなければならない点は、戦闘である。物理的な暴力をともなう戦闘は ごく一部で、ほとんどは正しい儀式と祈りの力で戦うという点である。 ゾロアスター教のアフラ=マズダーですら、最終決戦でもクシュティの真言を使うだけで、暴力は使わない。
では、ゾロアスター教を見てみましょう。
(引用)
ミトラの友 ゾロアスター教の神話
http://homepage2.nifty.com/Mithra/HP_Mithraism_Myth_Zoroastrianism.html
・大初
すべての始まりに先立って、二柱の神が存在した。
一方は、アフラ=マズダー(全知者)無限の光明の高みに住んでいた。
他方は、アンラ・マンユ(無知、破壊的)暗黒の深みに住んでいた。
アフラ=マズダーは、アンラ・マンユと戦いの期限を決めた後、聖なる祈りアフンワルを唱えた。すると、アンラ・マンユは、善の勢力にはかなわないと悟り、深淵に落ちて意識を失ってしまった。
世界の歴史は、一万二千年である。最初の三千年は原初の創造の時代である。第二の三千年は、アフラ=マズダーの意のままに過ぎる時代である。第三の三千年は、善と悪が混合する時代である。第四の三千年は、アフラ=マズダーの勝利が確定し、アンラ・マンユが滅びる時代である。
.第一の三千年期
アフラ=マズダーは、創造を始めた。
まず、不可視のメーノーグ界を作り出し、その中に、アムシャスプンタ(聖なる不死者・富ます者)とヤザタ神族(ミトラ単一神教の「神話」)をつくった。
その後、世界をつくることにし、最初に天空、つぎに水、大地、植物、動物(聖牛)をつくり、最後に原人ガヨーマルトをつくった。
万物は、霊的な状態にあり、理想的な平和を謳歌していた。
・第二の三千年期
世界は、不可視のメーノーグ界から可視のゲーテーグ界に移行した。これに伴い、万物は霊的状態から物質的な状態に移行した。アンラ・マンユは、悪魔の軍団をつくり、これを率いて、世界に侵入しようと試みるが、アフラ=マズダーに撃退され、ふたたび深淵に沈んでしまった。かくて、世界は平和な状態を保つことができた。
・第三の三千年期
悪魔たちは、アンラ・マンユを目覚めさせようとしたが、アンラ・マンユは目覚めなかった。そこで、不浄なる女悪魔ジャヒー(アンラ・マンユの娘)が現れ、原人と聖牛に多くの苦痛を与え、生きることをあきらめさせた。ジャヒーは、さらに、水、大地、植物、火といった被造物すべてを攻撃すると脅した。これに勇気を得て、ようやくアンラ・マンユは復活し、全悪魔を率いて世界を攻撃した。悪魔の軍団は、天空殻を突き破り、大洋を通り抜けて、大地の中央に侵入し、手当たり次第に攻撃・破壊した。大地は、真っ暗になり、真昼なのに真夜中のようになった。魔物が徘徊し、邪気が広まった。アンラ・マンユの軍団の攻撃は、成功し、世界は荒廃した。まず水を塩水に変え、次に大地を砂漠に変えた。ついで、百種樹を枯らし、聖牛と原人ガヨーマルトを殺した。最後に、仕上げとして、火を煙で汚した。惑星たちは、無数の悪魔たちとともに天球層に攻撃をしかけた。彼らは星座を混乱させた。あたかも火があらゆる場所を歪ませ、そこから煙がたち昇るように、全被造物が歪んだ。こうして、アフラ=マズダーの被造物は戦いに敗れたかのように見えた。
しかし、アンラ・マンユが軍団を率いて故郷に帰ろうとすると、鎧兜で身を固めたフラワシ(守護霊)たちが天空の道をふさいでいた。九〇昼夜におよぶ激戦の末、フラワシたちは、アンラ・マンユの軍団を地獄に投げ落とした。天上には累壁が築かれ、闇の軍団がもはや襲撃して来られないようにした。地獄は大地の中にある。そこに邪悪な霊は大地を貫通して入り込んだ。有象世界のあらゆるものが二元性をもつものへと変わっていった。迫害、争い、高みにあるものと低次元のものとがごちゃまぜになって顕現しはじめた。
(中略)
マトローとマトローヤオは腕を互いの肩の後ろにまわしたかっこうで地中から生えていた。やがて、両者は、植物の形から人間の形へと変化した。アフラ=マズダーはマトローとマトローヤオにこういった。「おまえたちは人間である。おまえたちは世界の先祖である。おまえたちは女神アールマティーの内に、わたしによって完全に作られた。法の命じる義務を献身的に果せ、善行をなせ、いかなる悪魔も崇拝するな!」。
(中略)
最初のしゃべったことは、アフラ=マズダーが水、大地、植物、動物、星々、月、太陽、そして天則のはたらきがその源である繁栄のすべてを創造したということだった。
ところがその後、彼らの精神の中に対立する考えが殺到し、彼らの精神は徹底的に腐敗し、彼らは、邪悪なる霊が水、大地、植物、動物、そしてその他先に述べたすべてのものを創造したと叫んだ。この虚偽は、アンラ・マンユの意志によるものだった。アンラ・マンユは、彼らから最初の喜びを得た。虚偽を語ったことによって、彼ら二人は、邪道に落ちた。人類は、指針を失い、暴力と悪意がはびこるようになった。
アフラ=マズダーの要請に応え、善に勝利をもたらすべく、ミトラは救世神としてアンラ・マンユとの戦いを引き受けた。アフラ=マズダーから、このことを聞くと、アムシャスプンタも、ミトラの地上統治をよろこんだ。ミトラは、ラシュヌとスラオシャをはじめとするヤザタ神族をしたがえて、世界の正義と秩序を見張り、生き物たちすべてを監督し、アーリマンたちの攻撃からかれらを守ることになった。ミトラは、アシャ(正義)を基準として、ドゥルジ(虚偽)にしたがう者を罰し、世界に公平さと正義をつくりだした。ミトラは人間の一生を見守り、その死後、アシャを基準として、裁きをおこなった。善いことをした者は、チンワトの橋をわたって、アフラ=マズダーが待つ光の中へ還れるが、悪いことをした者は、橋から転落させ、奈落の底に落とした。こうした徹底した正義の統治により、この世は秩序と平和を取り戻した。
しかし、アンラ・マンユは、これを黙ってみていたわけではない。さらに多くのダエーワ魔族をつくりだし、ヤザタ神族に対抗すべく、出撃させた。かくて、この世は、神族と魔族の戦場となった。
・第四の三千年期
アフラ=マズダーは、一つのフヴァルナをつくると、それをある若い女ドゥグダーウの中へと宿らせた。ゾロアスターは、生まれるとすぐに笑った。二十歳になった時、家を出て、肉を絶った。三〇歳になった時、ダーイテー川のほとりで、アフラ=マズダーの使者としてやって来たバフマンに会った。バフマンに導かれてゾロアスターは、天山に上り、そこでアフラ=マズダーとアムシャスプンタに会った。
アフラ=マズダーは、ゾロアスターに天地創造以来の出来事と世の終わりについて教え、善き宗教を建立するように命じた。人々の中には、ダエーワ魔族を崇拝する者が多くいたが、ゾロアスターは、苦難に打ち勝って、善き宗教を建立すべく努めた。ウィスターシュパ王を改宗させたことで、善き宗教は大きな第一歩を踏み出した。
あるとき、ゾロアスターはアフラ=マズダーに不死を与えて欲しいと願った。すると、アフラ=マズダーは全知の智慧によって、ゾロアスターに幻を見せた。ゾロアスターは、一本の木を見た。その木の枝は四つに分かれていて、それぞれが黄金、白銀、黒鉄、合金でできていた。
アフラ=マズダーは、ゾロアスターにいった、「おまえが見ている木の幹と四つの枝は、これから来る四つの時代を象徴している。
・黄金の枝は、わたしとおまえが出会った時代だ。ウィスターシュパ王が、この善き宗教を受け入れで、悪魔たちの像を破壊した時だ。しかし、彼らはかくれただけで、滅びたわけではなかった。
・白銀の枝は、カウィの王アルダシールの治世を象徴している。
・黒鉄の枝は、クヴァード王の子にして栄光にかがやくホスローの治世を象徴している。
・鉄の合金でできた枝は、怒りの大悪魔アエーシェマの種族による邪悪な統治を象徴している。
これから千年たったとき、ゾロアスターよ、おまえの千年紀は終わるのだ」。これを聞いて、ゾロアスターは不安になった。そこで、アフラ=マズダーは、自分の全知の智慧を水に変えて、ゾロアスターの手に与え、「飲みなさい」といった。ゾロアスターがそれを飲むと、全知の智慧がゾロアスターの全身にしみわたり、ゾロアスターは七日七晩の間アフラ=マズダーの智慧の内をさまよった。そのとき、ゾロアスターは、世の終わりについての黙示を得た。
6.世の終わりについての黙示
第三章アフラ=マズダーは、ザラスシュトラをはげますために、時の終わりに祭司ペショタヌと三名の救世主が現われて、善き宗教を回復すると告げ、その詳細を語って聞かせる。
http://homepage2.nifty.com/Mithra/Mithraism_Encyclopedia_Persian_Myths.pdf
の予言を参照
①ペショタヌ。マギの最高祭司長。ウィスターシュパ王の子孫で、カヤーン族の出身。
カヤーン族は、ミトラから王権を象徴する《カウィの光輪》を授けられた一族という意味⇒ハライェ・キ
ーヤーニー。ミトラの指示に従って行動する。
②フシェダル。湖のなかに保存されていたザラスシュトラの精子から生まれる三名の救世主の一人(一番目)。
③フシェダル・マーフ。湖のなかに保存されていたザラスシュトラの精子から生まれる三名の救世主の一人(二番目)。ミトラの指示に従って行動する。⇒ミトラの奇蹟
(3)第二の救世主フシェダル・マーフ⇒『バフマン祭儀書』第三章52-61
④サオシャント。湖のなかに保存されていたザラスシュトラの精子から生まれる三名の救世主の一人。最後に現われる救世主のこと。サオシャントは救世主を意味する言葉であり、固有名ではない。この最後に現われる救世主は、ササン朝時代の一般的な理解では最後のミール、つまりミトラ自身をさす
(4)第三の救世主サオシャント⇒『バフマン祭儀書』第三章62, 63
(5)復活、大審判、決戦⇒『ブンダヒシュン』第三〇章4-3
・復活
・イサトヴァースタル*の統治
・大審判
・不死の授与
・決戦
(引用終わり)
「天空殻を突き破り」ってマンガでは、『天元突破グレンラガン』 かな