2012年 08月 06日
ミトラ教4 - ザラシュストラの新宗教 |
ミトラ教とマズダー教
両者はともにザラシュストラを創始者とするもので、両者を総称してゾロアスター教と呼ぶ場合と、マズダー教のみを意味するする場合がある。
本ブログではミトラ教、ゾロアスター教(マズダー教)を分けて書きます。
ゾロアスター教では、「善と悪」を教えに入れました。 人間が勝手に正義を決め、宗教により戦争をする事を肯定化する歴史が生れたのです。
(引用 『ミトラ神学』)
ソロアスター教の教義は、ユダヤ教、キリスト教の教義に大きな影響を与えました。
(略)
ゾロアスター教の黙示録神話を伝えるのは、『バフマン・ヤシュト』です。これによれば預言者ザラトシュトラの死後千年たったとき、その教えは衰え、邪悪な者たちの支配する時代がきます。 それが千年続いたあと、アフラ=マズダーは正義の熾天使ミトラに率いられた天使団を送り込みます。そして、彼らに司祭ペショタヌと50人の勇士を導かせ、悪と戦わせます。 彼らは真の回復者の出現を待ちながら進軍を続けます。やがて彼らの前に回復者ザラトシュトラと息子のフシェダルが現れます。 フシェダルは彼らを迎え入れ彼らとともに千年王国を築き、ミトラに譲られ正義の統治を築きます。
キリスト教とイスラム教のメシア到来と千年王国伝説は、この信仰を取り入れて生れたものです。
(引用おわり)
ところで、 ミトラ教で、ミトラのお供は、白馬(シリウス)、七騎士(七曜星)、黄金の蛇(ヴリトラ)で、この黄金の蛇は、飛ぶようになって龍になります。また、ギリシア神話でも、「ヘルメスの杖」、杖に鷲の翼が生え、蛇が巻きついています。ヘルメス文章でも蛇は「智」の象徴。昨年訪れた、バーゼルの薬品博物館でも、マークは「蛇」でした。
それが、旧約聖書では、アダムとイブに禁断の果実をそそのかして、食べさせ、アダムには労働が、エバには産褥(さんじょく)の苦しみが科せられました。蛇には言い訳も許されませんでした。すぐさま神に呪われ、地を這い回る存在となりました。
下のウィーン美術史美術館の絵では、尻尾つきで立っているのが蛇人間が、神の逆鱗に触れ、地を這う蛇にさせられます。
蛇を悪に仕立てているのは、ザラトストラの新興宗教なんですね。 旧約聖書にもゾロアスター教の影響がうかがえます。
これは、前回にも載せましたが、584-549 BC である。サハック王の時代に、メディア人の国教ミトラ教は、ゾロアスター教に多大な影響を与えた。マギの位階制度はその一例である。サハック王は、半分ペルシア人の血をひく孫のキュロス王に譲った。キュロス王は、アケメネス朝ペルシアの始祖である。
サハック王は、ミトラ教の布教に努めた聖王であり、アジ・ダハーカAzhi-Dahâka、竜王という名誉ある称号を持っていた。アケメネス朝のゾロアスター教徒は、これに邪悪意味をこじつけ、邪悪な蛇王という意味にねじまげた。 この結果、ゾロアスター教の経典および後のイランの民族神話や民族文学には、邪悪な蛇王という伝承が埋め込まれることになった。
『ペルシャ神話大辞典より』
http://homepage2.nifty.com/Mithra/Mithraism_Encyclopedia_Persian_Myths.pdf p305
4.ザラシュストラの新宗教 New religion of Zoroaster
ザラシュストラは、祭司たちの知恵(マズダ)を神格化して、マズダという神を建てた。その上で、この神を主(アフラ)と呼んだ。これがアフラ=マズダーである*。ザラシュストラは、自分の建てた神アフラ=マズダーを中心に独自の考え方で神々を整理した。ザラシュストラは、神々を大きく善神群と悪神群に二分した。 その上で、善神の頂点にアフラ=マズダーを置き、悪神の頂点にアンラ・マンユを置いた。 そして、自己の信仰体系の中心にアフラ=マズダーと原アムシャスプンタを真似てつくった独自のアムシャスプンタを据えた。
ザラシュストラ自身の言葉を記した『ガーサー』の中には、三柱のアフラ(アフラ=マズダー、ミトラ、アパム・ナパート)に祈りを捧げている部分があるので、ザラシュストラがミトラとヴァルナ(アパム・ナパート)という二柱のアフラ神にも敬意を払っていたことは明らかである。 その一方で、ミトラ単一神教の大女神ディヴを悪神にしたり、ミトラに言及することを避けたりしていることもまた事実である。この背景にどのような事情があったのかを垣間見せてくれる伝説がある。 それは、ザラシュストラがミトラの秘儀の初歩の段階で追放された(失格した)というものである。この伝承は、なぜ追放された(失格した)かの理由については何も伝えていない。
p46
アフラ=マズダー Ahura Mazda, Ohrmizd, Hormazd
アフラ=マズダーという名前は、「主」を意味する言葉アフラと「智慧」を意味する言葉マズダーという二つの言葉の合成語である。ミトラやアナーヒターのように太古から存在する神の名前は一語なので、アフラ=マズダーは、後になってから創作された神であるとする有力な根拠になっている。
両者はともにザラシュストラを創始者とするもので、両者を総称してゾロアスター教と呼ぶ場合と、マズダー教のみを意味するする場合がある。
本ブログではミトラ教、ゾロアスター教(マズダー教)を分けて書きます。
ゾロアスター教では、「善と悪」を教えに入れました。 人間が勝手に正義を決め、宗教により戦争をする事を肯定化する歴史が生れたのです。
(引用 『ミトラ神学』)
ソロアスター教の教義は、ユダヤ教、キリスト教の教義に大きな影響を与えました。
(略)
ゾロアスター教の黙示録神話を伝えるのは、『バフマン・ヤシュト』です。これによれば預言者ザラトシュトラの死後千年たったとき、その教えは衰え、邪悪な者たちの支配する時代がきます。 それが千年続いたあと、アフラ=マズダーは正義の熾天使ミトラに率いられた天使団を送り込みます。そして、彼らに司祭ペショタヌと50人の勇士を導かせ、悪と戦わせます。 彼らは真の回復者の出現を待ちながら進軍を続けます。やがて彼らの前に回復者ザラトシュトラと息子のフシェダルが現れます。 フシェダルは彼らを迎え入れ彼らとともに千年王国を築き、ミトラに譲られ正義の統治を築きます。
キリスト教とイスラム教のメシア到来と千年王国伝説は、この信仰を取り入れて生れたものです。
(引用おわり)
ところで、 ミトラ教で、ミトラのお供は、白馬(シリウス)、七騎士(七曜星)、黄金の蛇(ヴリトラ)で、この黄金の蛇は、飛ぶようになって龍になります。また、ギリシア神話でも、「ヘルメスの杖」、杖に鷲の翼が生え、蛇が巻きついています。ヘルメス文章でも蛇は「智」の象徴。昨年訪れた、バーゼルの薬品博物館でも、マークは「蛇」でした。
それが、旧約聖書では、アダムとイブに禁断の果実をそそのかして、食べさせ、アダムには労働が、エバには産褥(さんじょく)の苦しみが科せられました。蛇には言い訳も許されませんでした。すぐさま神に呪われ、地を這い回る存在となりました。
下のウィーン美術史美術館の絵では、尻尾つきで立っているのが蛇人間が、神の逆鱗に触れ、地を這う蛇にさせられます。
蛇を悪に仕立てているのは、ザラトストラの新興宗教なんですね。 旧約聖書にもゾロアスター教の影響がうかがえます。
これは、前回にも載せましたが、584-549 BC である。サハック王の時代に、メディア人の国教ミトラ教は、ゾロアスター教に多大な影響を与えた。マギの位階制度はその一例である。サハック王は、半分ペルシア人の血をひく孫のキュロス王に譲った。キュロス王は、アケメネス朝ペルシアの始祖である。
サハック王は、ミトラ教の布教に努めた聖王であり、アジ・ダハーカAzhi-Dahâka、竜王という名誉ある称号を持っていた。アケメネス朝のゾロアスター教徒は、これに邪悪意味をこじつけ、邪悪な蛇王という意味にねじまげた。 この結果、ゾロアスター教の経典および後のイランの民族神話や民族文学には、邪悪な蛇王という伝承が埋め込まれることになった。
『ペルシャ神話大辞典より』
http://homepage2.nifty.com/Mithra/Mithraism_Encyclopedia_Persian_Myths.pdf p305
4.ザラシュストラの新宗教 New religion of Zoroaster
ザラシュストラは、祭司たちの知恵(マズダ)を神格化して、マズダという神を建てた。その上で、この神を主(アフラ)と呼んだ。これがアフラ=マズダーである*。ザラシュストラは、自分の建てた神アフラ=マズダーを中心に独自の考え方で神々を整理した。ザラシュストラは、神々を大きく善神群と悪神群に二分した。 その上で、善神の頂点にアフラ=マズダーを置き、悪神の頂点にアンラ・マンユを置いた。 そして、自己の信仰体系の中心にアフラ=マズダーと原アムシャスプンタを真似てつくった独自のアムシャスプンタを据えた。
ザラシュストラ自身の言葉を記した『ガーサー』の中には、三柱のアフラ(アフラ=マズダー、ミトラ、アパム・ナパート)に祈りを捧げている部分があるので、ザラシュストラがミトラとヴァルナ(アパム・ナパート)という二柱のアフラ神にも敬意を払っていたことは明らかである。 その一方で、ミトラ単一神教の大女神ディヴを悪神にしたり、ミトラに言及することを避けたりしていることもまた事実である。この背景にどのような事情があったのかを垣間見せてくれる伝説がある。 それは、ザラシュストラがミトラの秘儀の初歩の段階で追放された(失格した)というものである。この伝承は、なぜ追放された(失格した)かの理由については何も伝えていない。
p46
アフラ=マズダー Ahura Mazda, Ohrmizd, Hormazd
アフラ=マズダーという名前は、「主」を意味する言葉アフラと「智慧」を意味する言葉マズダーという二つの言葉の合成語である。ミトラやアナーヒターのように太古から存在する神の名前は一語なので、アフラ=マズダーは、後になってから創作された神であるとする有力な根拠になっている。
by heibay
| 2012-08-06 08:00
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