土壌の科学 (ドイツの腸管出血性大腸菌から) |
作物を作るのが 肥 料 です。
これを知らない 有機農法 推奨家 がテレビで出鱈目を言っているのが現状です。
帰国して、しばらくしてからニュースで出てきたのが「腸管出血性大腸菌O-104による食中毒事件」。有機栽培について、ドイツの消費者は、未熟堆肥を使用させない等、レベルが高いと思っていたら、日本の消費者並みだったんですね。
2011年6月15日現在、3351人の患者が発生し、うち37人が死亡。
原因を推測すると
(1)排泄物を発酵させて、高温で一定期間、発酵させた堆肥は、有害微生物が死んでいるとされているが、今回の事故を起こした有機スプラウト(もやしなど新芽野菜)農場では、未熟な堆肥の使用が考えられる。
(2)有機栽培では、使用を許されたわずかな物質を除き、原則として合成化学物質は使わない。
・問題となった農場も、種子の消毒に薬剤を使っていなかったのではないか。
参考: http://www.foocom.net/column/editor/4356/
堆肥は、豚や鶏の糞と土を混ぜ、微生物に糞を食べさせ、微生物が出した分泌物を利用する。発酵の途中で微生物に酸素を与えるため、切返しなどをします。 だから、糞そのものでないのです。 この製造過程で 70℃ぐらいの高温で一定期間、発酵させた堆肥は、有害微生物が死んでしまうのです。 だけど作るのに1年ぐらいはかかりますから。 そして良質堆肥は、発酵による分解が完了しています。 未熟堆肥は高熱発酵による分解が出来ていません。
【良質堆肥の定義】
(1)リグニン量の多いもの
(2)優良微生物群に好気発酵させたもの
(3)まだ微生物(放線菌)の餌が残っているもの
(4)C/N 比(炭素/窒素)では無機物がちょっと多い状態
「良い土」という表現がありますが、農業で、良い土とは団粒構造ができた土のことです。固相:液相:気相が4:3:3が理想とされています。孔隙(すき間)が6ミクロン以下なら毛管引力で水を引き寄せ、6ミクロン以上なら重力で水が下へ流れます。つまり、保水力があり、水はけの良い土です。団粒構造ができると乾燥に強い細菌と弱い細菌が混在し多様な微生物が共存します。
この団粒構造を作るのに良質堆肥が必要なんです。粘土はチューイング・ガムのように板状です。淵がプラス電子、板面がマイナス電子です。
このマイナス電子の部分に 鉄などのプラス電子を帯びた元素が付き別の粘土とが重なっていきます。
それが、ある程度、大きくなると プラスとマイナスの電子を帯びたいる両性電解質をもった土壌有機物(高分子有機化合物)が 接着剤として機能します。。土壌有機物が、堆肥の構成要素である微生物の分泌物なのです。
そして、板状の表面にマイナス電子を帯びているため、陽イオンの吸着性に優れ、吸着した陽イオンは別の陽イオンと交換して水に溶け出させる。こうした交換できる形で吸着できる陽イオンの総量を陽イオン交換容量(CEC)と呼ぶ。CEC(Cation Exchange Capacity)が高ければ保肥力が高いことになる。
つまりCECが高ければ必要な肥料をやると作物が吸収するのです。土が肥料を抱くことが出来ないと、肥料をやっても流れてしまうだけです。
肥料の N(窒素)、P(燐酸)、K(カリ)、が植物の燃料ならば、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)が潤滑油なんです。 例えば農薬を減らすには、害虫はCu(銅)が嫌いなので、ミネラルとして作物に吸収させるため硫酸銅を打つちます。(同じ物質でも、人間の役に立つ元素はミネラル、害になるなら重金属と言います)もちろん土の力で毒分は消えていきます。
大事なのは 植物は無機物を有機物にするのが神がくれた役割(例外もあるが)だから肥料を有機物にこだわる必要はありません。
有機農法を提唱しているバカな消費者も目覚め、CECが高い土壌を作る農家に目を向ければいいのですがね。 農薬=悪 化学肥料=悪 と してる方が 勉強の必要がなく、素人を洗脳できるので、心地が良いのでしょう。