バチカン発 宗教と金とマフィア |
今まで読んだ本で『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 』塩野七生著では、父、ローマ法王アレクサンデル6世の息子チェザーレが緋色の服を着る枢機卿になるため、権力闘争と金を使ったことが書かれていた記憶がある。 それだけ、枢機卿になると利益があるのであろう。 (この時代 神父の親玉、法王は子供がいてもいいのかよ)
[写真]:緋色(赤)の服がチェザーレと言われている バチカン美術館
そして、『赤い盾』広瀬隆著には、イタリアは、経済力の割りに銀行が多いと載っている。 カトリックの本山バチカンには世界中からお金が集まってくる結果だそうです。 大体、東京ディズニーランドの大きさの国で、ローマ法王が、立法、行政、司法の全権を行使をするので、いわば宗教法人が国家なので、税金もへったくれもありません。 日本をはじめ世界各国に大使を送っているのですから、全世界が公認。
そして、映画『ゴッド・ファーザーⅢ』でマフィアとバチカンの関係が描かれていたが、現代でも、バチカンとマフィア(麻薬)の関係はアンタッチャブルな(触れてはいけない)世界となっています。
そこへ『バチカン銀行の資金押収 「闇」の解明なるか』(産経新聞) と面白い記事があった。産経新聞は、日本と米国と中国以外の記事は優れているらしい。
(転載)
産経新聞 9月22日(水)
『バチカン銀行の資金押収 「闇」の解明なるか』
【ロンドン=木村正人】「神の銀行」といわれるローマ法王庁(バチカン)の財政管理組織「宗教事業協会」(通称・バチカン銀行)の資産2300万ユーロ(約26億円)がイタリア司法当局にマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで押収された。法王庁は容疑を否定している。同行をめぐっては1980年代に不正融資疑惑が発覚したが、関係者が次々と変死し、真相は解明されずに終わっている。
ローマからの報道によると、バチカン銀行は今月中旬、イタリアの銀行クレジト・アルティジャーノに預けていた資金をドイツ・フランクフルトの米JPモルガン・チェースなど2行に受取人を明らかにしないまま送金しようとした。このため、イタリア中央銀行が同国の司法当局に通報した。ゴティテデスキ総裁ら銀行幹部2人が捜査対象という。
バチカン銀行は昨年11月にも受取人を明らかにしないまま計1億8千万ユーロ(約203億円)を送金していた疑惑が発覚し、伊司法当局が捜査していた。同行は長年にわたり顧客の身元を明かさず、他行への送金を代行していたとされる。
法王庁は21日、「当惑し驚いている」と表明、同行の業務は公明に行われていると強調した。バチカン市国は主権国家のため伊司法当局の捜査がどこまで進むのか疑問視する声もある。
ローマ法王は17日、訪問先の英国で金融危機について「経済活動に関する堅固な倫理規定がなかったため」と説教した。イタリアのカトリック大学で金融倫理を教えていたゴティテデスキ氏は1年前、同行総裁に就任、法王と同じく倫理を失った現代資本主義を厳しく批判し、タックスヘイブン(租税回避地)規制など銀行の近代化に取り組んでいた。
バチカン銀行は1942年に設立され、法王直属の枢機卿からなる委員会によって運営されている。以前はマフィアとのかかわりが指摘され、改革を唱えた法王ヨハネ・パウロ1世が78年、就任1カ月余で死亡。82年に主力取引行のイタリアの銀行の不正融資が発覚し頭取が変死。歴代頭取の秘書も自殺、バチカン銀行が関与していた疑惑も浮上し、大スキャンダルとなった。
(転載おわり)